2015.12.07 「『北海道総合教育大綱』から北海道の教育を考えるつどい」

           ダイジェストは、「会報No32」をご覧ください。


 2015.5.23 村山士郎講演会ダイジェスト

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2014. 4. 5  小森陽一講演会ダイジェスト

「道民の会」など12団体が呼びかけた   4・5「子どもと教育を考える春の集い」に150人参加!

        『教育再生』とこの国の未来を考える     ~「道徳」の教科化・学力競争・教育委員会制度・・・~
                                                                                お話 小森陽一さん (東京大学教授)

 教育委員会制度の変更、愛国心を強いる教科書検定、道徳の教科化など矢継ぎ早の安倍「教育改革」が進められる中で、4月5日、北大の人文・社会科学総合教育研究棟で、東大大学院の小森陽一教授が「『教育再生』とこの国の未来を考える~道徳の教科化・学力競争・教育委員会制度・・~」と題して講演しました。
 「道民の会」など12団体(子どもと教育・文化 道民の会/さっぽろ子育てネットワーク/札幌市学童保育連絡協議会/新日本婦人の会北海道本部/全石狩札幌教職員組合/全北海道教職員組合/DCI札幌セクション/北海道教育科学研究会/北海道高等学校教職員組合/北海道子どもセンター/北海道民間教育研究団体連絡協議会/北海道労働組合総連合)がよびかけ、札幌市・自由が丘学園から後援された「春のつどい『小森講演会』」が行われました。12団体の共同の広がりの中、保護者や市民・教員教育関係者ら150人が参加して講演・現場教師の報告に耳を傾けました。
 

◎憲法9条を解釈変更で突破

 小森氏は「安倍晋三政権は、憲法9条の縛りを解釈変更で突破しようとしている。かつての政権は自衛隊を戦力ではなく自衛のための最低限の実力だと説明してきた。自衛隊を国連平和維持軍に出すことについて当時の内閣法制局長官は、派遣は困難な場合が多いと答弁し、法案が廃案になった。安倍政権はこうした歴代の政府の議論の積み重ねを閣議決定で覆そうとしている。」と述べ、昨年の臨時国会で特定秘密保護法が強行採決され、今年4月には武器輸出三原則を変えたことと合わせてその危険性を指摘しました。

◎戦争に行かせる教育改革

 また、第一次安倍政権が教育基本法を改悪したこと、安倍政権が教育を攻撃することによって、政治を動かしてきた面に触れ「今、一番問題になっているのは教育委員会制度。教育委員会のトップの委員長と、教育行政を仕切る教育長を一体にした新しい《教育長》ポストをつくる。《教育長》は、首長が主宰する総合教育会議で決まったことに反対できなくなるおそれがある。改正教育基本法には・・伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う・・と入っている。教科書を作る側はせっかく作った教科書を不採択にしたくないので、教育基本法に則した内容にあらかじめ自主規制していく恐れがある。道徳も教科化するというが、本来は学校や保護者、地域が協力して子どもたちがお互いに助け合って生きていく中で、どういう行動が望まれるのか、学んでいくものではないか。」と述べ、自衛隊を軍隊化する集団的自衛権の行使と戦争に行かせる人づくりの教育政策が連動していることを強調しました。

◎学校中心に教育議論を

 これからの課題として、この国の未来と教育の再生を願う人々が多数派を形成して安倍政権の動きを押し返すことと、教育では「もう一度学校を地域社会に開いていくこと、学校を中心とした地域社会が壊されてしまったことが、子どもの貧困をはじめとしてさまざまな問題を引き起こしている。学校で何がおこなわれているのか、どうなっているのかをきちんと保護者や地域の人が把握しながら、そこでの問題を議論していくことが求められる。小学校を地域の全ての人々の安心と子どもたちの成長を見守る場にしていくこと。」が大切だと述べました。

◎草の根の運動で展望を

 そして最後に「現在の国会の力関係では野党が結束してきちんと自民党に対決できる状況にはない。草の根の力でこれを押し返し展望を切り開こう。」と講演を締めくくりました。
 
 この後、二人の学校現場の教諭から報告がありました。
 空知管内の小学校教諭は、道教委が全国学力テストの点数を向上させることに力を入れて、学校現場に様々な対策を求めてくる実態や本来の学びの意味が尊重されずに点数に表れる結果だけを求める姿勢を強めていることに対して、保護者や現場教師から批判が上がっていることを紹介しました。
 同じく札幌の中学校教諭は、日常の授業の様子を紹介しながら、教科書の問題について報告しました。教科書の採択については、現場の教師の意見があまりにもないがしろにされていること。教科書制度の改悪は、もっと国民的な運動が盛り上がらないとこのまま粛々とすすめられてしまうのではないかとの危惧が述べられました。

 会場からは、「改憲の動きや集団的自衛権の行使のねらい、安倍教育改革の目的について理解が深まった」などの感想があり、盛会のうちに終了しました。